一人暮らしを始めた頃だ。
近所にあった「スーパーいなもと」藤浪店で買ってきたキャベツを千切りにしてマヨネーズを掛けて食べた。
生のキャベツならドレッシングを掛ける人が多いかもしれないが、子供の頃からずっとマヨネーズかとんかつソースだった。
で使ったマヨネーズはキューピーのやつ。
家では昭和40年代はずっとキューピーだった。だからマヨネーズはキューピーしか作ってないと思っていた。
昭和50年頃になると、突然味の素を使うようになった。母の好みが変わったのかも知れない。
しばらく味の素のマヨネーズだったが、やがてまたキューピーに変わった。
さて、昭和の末期に内地に引っ越してきてスーパーマーケットに行って見ると、味の素のマヨネーズを置いてないところがあった。
置いてあってもキューピーのに比べると10分の1位いの取扱量しかなかったりする。
それに気づいてからできるだけ味の素を買うようになった。 (誰かが味の素を応援しないとバランスがわるいでしょ。)
で、話を元に戻して、千切りにしたキャベツにキューピーのマヨネーズを掛けてたべたの。
千切りといっても、料理慣れてないし。 百切りくらいにしかなってなかった気がする。
いろいろ試してみて判ったのだけど、あれ切り方次第で、下手なりに千切りっぽくできるようになるわけ。
切り方を誰かに教わるか、料理の基礎を書いた本でも読めばよいのだが、自分なりにあれこれ試してみたくなった。
(その頃は朝8時に出勤して、帰ってくると深夜2時という生活を繰り返していたのに、よくそんな余裕があったなと思う)
最初は葉っぱを一枚一枚ばらばらにして水洗いした後、何枚か重ねて包丁で切る。
そうすると見事に百切り状態になってしまう。
次に、重ねずに1枚ずつ切るようにしてみた。 ただし、1枚だとキャベツを切っているのか、まな板を切っているのか分からなくなりそうだったので、葉っぱを葉巻のように丸めて切るようにした。そうすると見事千切り状態に切れるようになった。しかし、これだと作業効率が悪く、一食分切るのに10分も掛かってしまう。
そこで、最近はバラバラにして洗ってから切るのではなく、切ってから洗うようにした。
その切り方も丸いキャベツの端を一部切り落とし、葉をバラバラにせずに重なったまま切る。そうすれば素早く千切りができるようになった。最後はざるに入れて水洗いする。
また脱線してしまったので、話を戻す。
そうやって作った千切りキャベツにキューピーのマヨネーズを掛けて食べたわけさ。
そうするとトンでもなく辛い。
気のせいでなく辛い。
そういえば、大根も時々辛いのがあったのを思い出した。
キャベツも辛いのがあるのだろうか。
祖父が作ったキャベツを20年近く食べたが、そんな辛いのは記憶にない。
品種が違うのか、粗悪品に当たったのか。
一人暮らしだったので、一度キャベツを買うと毎日のように食べないと腐らせてしまう。
翌日も、またその翌日もキャベツを食べなければならない。
翌日は、「水で洗うのではなく、10分くらい水に漬けておかなければならないのか?」と思ってそうしてみた。
でも、やはり辛い。
その翌日は、「辛いキャベツだから仕方が無い。マヨネーズを多めに掛けて誤魔化そう」と思ってそうしてみた。
すると…。益々辛い。 涙が出るほど辛い。
そう、買ってきたマヨネーズ、実は普通のじゃなく、「からしマヨネーズ」だったのだ。
でもその日はまだ気づいてなくて、実家の母に電話して「キャベツが飛んでもなく辛いけど、…」と聞いてみたが、返ってきた答えは「辛いキャベツなんて知らない」だった。
残ったキャベツは捨ててしまったのか、我慢して食べたのかは覚えていない。
火を通せば辛くなくなるかもと考えた気もするが、ロールキャベツを作るほどの時間の余裕はなかったので、野菜炒めにしたかもしれない。
まあ、キャベツは3~4日で食べきったとしても、マヨネーズはそんなに早くは消費しきれない。
容器が空になるまで何ヶ月か掛かったと思う。
であるとき、小学校の遠足でからしマヨネーズを使ったサンドイッチを持ってきてた奴いたのを思い出した。
からしマヨネーズというのは、それぞれの家庭でマスタードにマヨネーズを混ぜるものだとばかり思っていたが、もしかして「からしマヨネーズ」というのが売っていたのではないか?
でそれを買ってきて使ったのではないか?
その疑問を解くために、早速冷蔵庫に飛んで行った。
『正解!!』。 買うときによく確認しないで買ってしまったようだ。 てゆうか、最初から「からしマヨネーズ」になったものを売ってると思わなかったから疑うことなく買ってしまった。
それ以来、間違ってからしマヨネーズを買うことはなくなった。
もう、20年近く前の事である。