朝、客先に行くために道を歩いていたら、30メートルくらい先の踏み切り近くに何やら光る物が転がっていた。
光るといっても、黒っぽくキラキラしている。
葡萄の粒のような輝きだが、大きさはテニスボールくらいはある。葡萄の粒ではない。
少しずつ近づくにつれて形がハッキリしてきた。
オモチャのボールかとも思ったが、ボールにしては少しイビツである。
空気の抜けたボールのような弱弱しさは無い。張りと艶がありながらもまん丸には見えない。
すぐ近くまできてソイツの正体が判明した。
ラップをした「おむすび」だった。
お母さんがお弁当に作ったものを息子が落としてしまったのか、それともOLさんのバッグから転がり落ちたのか。
お昼に食べようと思ってバッグの中をみたら無かったというのはなんと悲しいことか。
そう言えば数年前、名古屋競馬場前の東海通りを一本入った裏道に、弁当箱の中身だけ捨ててあったのを思い出した。
ご飯の上に焼きそばを載せただけの誰が見ても粗末なものだった。
無精者の奥さんが作ったものを、食べるのも、そのまま持って帰るのもできなくて、捨てたのだろうか。
一口も手をつけた痕はなかった。
これも悲しいけど、作った人と、作ってもらった人の関係だから、落し物の悲しさとはちょっとちがう。
踏み切りを亘ろうとすると、こんどは不燃ごみのビニール袋が線路脇に落ちていた。
中身は空っぽで新しいものだ。 不法投棄されたものではないだろう。
ビニール袋には拳より一回り大きい石が載せられている。
わざわざ線路内に立ち入ってそんなことするやついるだろうか。
ビニール袋が舞い上がって架線に絡まると運行の妨げになるので、保線作業員が石を載せたのかも知れない。
それなら持ち帰って廃棄するんじゃないか。
色々な「謎」とその背景を想像しながら歩いていると駅に着いた。
帰りには、駅前の飲料の自販機が新しくなっていた。
ペプシの「リフレッシュショット」を買おうとしたらコカコーラになっていた。
飲料はペプシよりもコカコーラのほうが好きなものが多いが、リフレッシュショットは良かったので残念だ。
東枇杷島の駅にはまだ置いてあるだろうか。